第1章 アジャイル開発の概要の要点
スコープ、イテレーション、ストーリー、常時結合を整理
- 第1章は、アジャイル開発がなぜ生まれ、従来のやり方とどう違うかを押さえる章です。反復(イテレーション)、ストーリー、多能工、常時結合などの基本の言葉が出ます。
- スコープ、イテレーション、ストーリーの3つは、第2章以降でも使い続ける言葉です。
- 用語は「どの場面の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第1章「アジャイル開発の概要」は、アジャイル開発が登場した背景と、ウォーターフォール型との違い、基本の言葉を扱います。第2章以降の土台になる章です。
本番の60問のうち、第1章からは12問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全5章から均等に出題するようにしていて、第1章からは12問を出しています。試験全体の約20%にあたります。
もちこ道場の第1章の問題は50問です。形式は次の4つです。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 10問 |
出てくる用語は、どの場面の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 登場の背景
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| アジャイル開発 | ライトウェイトな開発手法の総称。1990年代後半から姿を現した |
| メインフレーム | ウォーターフォール型で、環境や構造をそろえて途中の設計変更を避けるために使われた |
| イテレーティブ型 | 反復しながら、システムを部分ごとに開発する型。代表がRUP |
| UML | 反復型でオブジェクト指向のモデル図を書くための表記法 |
2. 変更への備え
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| スコープ | 開発の範囲。品質・コスト・期間に加えて調整する要素で、問題が起きたら範囲のほうを動かす |
| イテレーション | 繰り返し開発の単位となる短い期間 |
| 常時リリース | 作った機能を早く使い始め、かけた費用を早く回収できる |
3. 要件とチーム
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ストーリー | アジャイル開発での要件の呼び方。テストもここから考える |
| 多能工 | 設計から製造、テストまで1人でこなせる人 |
| 10人以下 | 意思疎通を保てるチームの規模。大規模なら複数チームにし、プロジェクト管理を強める |
4. 毎日の進め方
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| スタンドアップミーティング | 進み具合や課題を確かめる、毎日の短い打ち合わせ |
| カンバンボード | 作業場に掲げ、開発済みと残りのストーリーを誰でも確認できる |
| レトロスペクティブ | 繰り返しの節目に行う反省会。プロセスを見直す |
5. 一緒に作る
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ペアプログラミング | 2人1組でコードとテストを作り、ペアを組み替えて知識を広げる |
| チームビルディング | 同じ知識を持ち、一体となって開発に向かう活動 |
6. 自動化
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 常時結合 | 作成後すぐにビルドし、配置までを自動化する。少なくとも1日1回、ビルドとテストを行う |
| DevOps | 常時結合の発展形。テストの自動実行から本番への配置までをつなぐ |
| リファクタリング | コードを整える作業。機能の追加と並行して繰り返す |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、似た場面の用語が並びます。次の組み合わせは、「いつ・何のためか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| ウォーターフォール型とアジャイル開発 | 途中の要件変更ができない(ウォーターフォール型)か、次の開発に入る前に受け入れる(アジャイル)か |
| スコープと品質・コスト・期間 | 問題が起きたとき、動かすのは範囲(スコープ)で、従来の3つは変えない |
| スタンドアップミーティングとレトロスペクティブ | 毎日の短い打ち合わせか、節目の反省会か |
| カンバンボードとスタンドアップミーティング | 状況を見せる道具か、毎日の打ち合わせか |
| 常時結合とDevOps | ビルドと配置の自動化(常時結合)か、その発展形で運用までつなぐ(DevOps)か |
| ペアプログラミングとチームビルディング | 作業のやり方か、その結果として得られる一体感か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
ほかの章の要点は「記事の一覧」にまとめています。
第1章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第1章(無料体験)の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
アジャイル開発では、何か問題が起きた時に、1を調整することで、従来から変動要素とされてきた品質・コスト・期間を変えずに済ませる。
答えと解説を見る
正解は 4(スコープ)です。
【概要】
アジャイル開発で問題への対応のために調整する要素を問う問題である。従来は品質・コスト・期間が変動要素であったが、アジャイル開発ではこれに開発範囲であるスコープを加え、問題が起きた時にはスコープを調整することで従来の3つを変えずに済ませる。したがって、空欄(1)には「スコープ」が入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 開発人員を増やしても成果はすぐには出ず、かえって問題が大きくなることもあるため、問題への対応として調整する要素ではなく、本問の正解ではない。
- 2.あなたの解答 開発環境は変動要素として追加される要素ではなく、調整しても品質・コスト・期間を変えずに済ませることにはつながらないため、本問の正解ではない。
- 3.あなたの解答 テスト期間を短くすると品質の低下を招き、従来の変動要素を変えてしまうため、問題への対応として調整する要素ではなく、本問の正解ではない。
- 4.正解あなたの解答 スコープはアジャイル開発で追加される変動要素であり、これを調整することで従来の3つの要素を変えずに変化へ対応できるため正しい。
問2
アジャイル開発手法において要件項目を表す1という単位を設定し、その中で設計・実装・テストの工程を順番ではなく同時に進めていく。
答えと解説を見る
正解は 3(ストーリー)です。
【概要】
アジャイル開発における要件の呼称はストーリーである。この単位ごとにテストの作成や設計およびプログラミングを並行して進めることで、短い開発期間での動作確認と仕様変更への柔軟な対応を可能にする。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 イテレーションは繰り返しの開発期間の単位であり、本問の空欄(1)に示す要件の呼び名ではない。
- 2.あなたの解答 シナリオは要件からテストの条件などを具体化する思考の枠組みであり、並行作業を行う要件の単位ではないため当てはまらない。
- 3.正解あなたの解答 ストーリーはアジャイル開発で要件を指す用語であり、設計やコーディングおよび検証を同時に進行させる基本単位であるため空欄(1)に適合する。
- 4.あなたの解答 タスクは作業項目を細分化した具体的な仕事の単位であり、各種工程を並行実施する要件項目そのものの呼び方ではない。
第1章の50問は、登録なしでそのまま解けます。解説と図解も同じ形で付いています。
よくある質問
第1章はどの章とつながっていますか?
第1章の用語は、第2章の宣言と原則、第3章のスクラムを使った管理、第4章のチーム運営、第5章の XP の各手法のすべての土台になります。ここで言葉をそろえておくと、後の章が読みやすくなります。
アジャイル開発は、計画を立てずに進める方法ですか?
いいえ。途中の変更は受け入れますが、始めるときにおおよその規模を予測して予算を決めておく必要があります。計画なしで始めるわけではありません。
「アジャイル開発」という手法が1つあるのですか?
1つの手法の名前ではありません。複数のソフトウェア開発手法をまとめた呼び名で、各地で同時期に生まれた手法が、根本の考え方を共有しています。
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アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験Lv.1の第3章「アジャイル開発におけるプロジェクト管理」で問われる用語を、6つのまとまりと取り違えやすい組み合わせで整理しました。第3章の問題を2問、その場で解いて確かめられます。
出題範囲は、2026年10月26日に試験の公式サイトで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。