第2章 アジャイル開発に対する基礎知識の要点
宣言、イテレーション、タイムボックス、シンプルさを整理
- 第2章は、アジャイルソフトウェア開発宣言と原則を中心に、アジャイル開発の考え方を扱う章です。宣言の位置づけ、イテレーション、タイムボックス、シンプルさ、チームのあり方が出ます。
- 宣言は何に価値を置くかの判断基準で、具体的な手順を決めたものではありません。
- 用語は「どの考え方の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第2章「アジャイル開発に対する基礎知識」は、アジャイルソフトウェア開発宣言(アジャイルマニフェスト)と原則、イテレーションの考え方、チームの姿勢を扱います。第1章の基本の言葉を、考え方の面から説明する章です。
本番の60問のうち、第2章からは12問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全5章から均等に出題するようにしていて、第2章からは12問を出しています。試験全体の約20%にあたります。
もちこ道場の第2章の問題は50問です。形式は次の4つです。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 10問 |
出てくる用語は、どの考え方の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 宣言と原則
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| アジャイルソフトウェア開発宣言 | アジャイルマニフェストとも呼ぶ。多様な手法の底にある共通の価値観を短くまとめた文書 |
| 4つの価値と12の原則 | 宣言が挙げる価値は4つで、それぞれに12の原則が添えられている |
| 位置づけ | 判断の方向性を示すもので、手順の詳細を決めたものではない |
| 顧客満足 | 行動指針で最優先とされるもの |
2. 反復の枠組み
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| イテレーション | 短い反復の単位。1回の期間は2〜3週間から2〜3か月ほどの範囲 |
| 期間の固定 | 長さを一定に保つと回すごとに経験値が上がる。作業量が増減しても伸び縮みさせない |
| タイムボックス | まず時間を区切り、その枠の中で終わらせる考え方 |
3. 届ける価値
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 動くソフトウェア | 進捗を計る最も重要な尺度。デモや試作品ではなく、実際に運用できるもの |
| 成果物の位置づけ | 顧客が最終的に望むソフトウェアの一部。反復のたびに大きくなる |
| フィードバック | 動くものを見てもらって得る反応。顧客は途中で何度も判断や方針の修正ができる |
| 評価環境 | リリースの際に、顧客が動作を確かめる場所 |
| 段階的なコスト回収 | 価値の高い機能を早く出して、投入した費用を少しずつ回収する |
4. 考え方の違い
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 要求は変わらない | ウォーターフォール開発の暗黙の前提 |
| 予見型 | 変化や誤解を予防することに費用をかける |
| 適応型 | 不都合を素早く見つけることに費用をかける |
| 変化への姿勢 | 顧客の要求だけでなく、チーム内の改善という変化も歓迎する |
5. 設計の姿勢
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| シンプルさ | 現時点の要求を満たす簡素な設計にとどめ、将来の変更に備える |
| コードの負債 | わかりにくい設計はこう捉え、こまめに解消する(リファクタリング) |
6. 人とチーム
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| プロダクトオーナー | チームの中に置く顧客の代表。顧客の意志を現場に直接伝える |
| 日々一緒に働く | ビジネス側の人と開発者の関わり方 |
| 多能工化 | 設計・実装・テストなど複数の領域をこなせること |
| 自己組織化 | ルールを外部で決めさせず、メンバーが自発的に判断して助け合う |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、近い考え方の用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 宣言と手順書 | 宣言は価値の判断基準で、具体的な手順やプロセスは決めていない |
| ウォーターフォール開発とイテレーション | リリースが完了直前の1回だけか、反復ごとに動くものを届けるか |
| 予見型と適応型 | 起きる前に防ぐ側に費用をかける(予見型)か、早く見つける側にかける(適応型)か |
| タイムボックスと作業量 | 作業量が変わっても期間は動かさない |
| 宣言の左側と右側 | 左側も不要ではない。右側をより尊重する |
| 動くソフトウェアと試作品 | 実際に運用できるレベルか、見せるだけのものか |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
ほかの章の要点は「記事の一覧」にまとめています。
第2章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第2章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
アジャイル開発では、イテレーションごとの成果として1を見て評価することが、プロジェクトの進捗を計るうえで最も重要となる。
答えと解説を見る
正解は 3(動くソフトウェア)です。
【概要】
アジャイル開発で進捗を計る最も重要な尺度を問う問題である。イテレーションごとに実際に使用可能な動くソフトウェアをリリースし、それを見て評価することが進捗確認の中心となる。したがって、空欄(1)には「動くソフトウェア」が入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 消化した作業工数は、作業に費やした量を表すだけで成果が動作するかを示さないため、進捗を計る最も重要な尺度ではなく、空欄(1)には入らない。
- 2.あなたの解答 作成した設計書の量は、文書の作成状況を表すにとどまり、動作によって成果を確認できないため、進捗を計る最も重要な尺度ではなく、空欄(1)には入らない。
- 3.正解あなたの解答 動くソフトウェアは、顧客が実際に使用でき、動作を見て評価できる成果物であり、進捗を計る最も重要な尺度となるため、空欄(1)に入る語句として正しい。
- 4.あなたの解答 実施した会議の回数は、活動の頻度を表すにとどまり、成果物の出来を示さないため、進捗を計る最も重要な尺度ではなく、空欄(1)には入らない。
問2
ウォーターフォール開発と異なり、アジャイル開発では、顧客にとっての価値が最も高くなるよう、1を単位として動作する成果物を顧客へ届ける。
答えと解説を見る
正解は 3(イテレーション)です。
【概要】
アジャイル開発における成果物の届け方を問う問題である。ウォーターフォール開発はプロジェクト完了直前に一度だけリリースするが、アジャイル開発は短い反復であるイテレーションごとに、動作可能な成果物を顧客へ届ける。したがって、空欄(1)には「イテレーション」が入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 工程は、要件定義や設計など作業の区切りを指す語であり、顧客に動作可能な成果物を届ける単位ではないため、空欄(1)には入らない。
- 2.あなたの解答 プロジェクトは、開発全体を指す単位であり、ウォーターフォール開発では完了直前に一度だけリリースするため、空欄(1)には入らない。
- 3.正解あなたの解答 イテレーションは、短い期間で区切った開発の反復であり、アジャイル開発では反復ごとに動作可能な成果物を顧客へ届けるため、空欄(1)に入る語句として正しい。
- 4.あなたの解答 担当者は、作業を割り当てられた人を指す語であり、成果物を顧客へ届ける期間の単位ではないため、空欄(1)には入らない。
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よくある質問
第2章はどの章とつながっていますか?
第1章で見た基本の言葉を、宣言と原則という根っこの考え方から説明し直す章です。第3章のスクラムや第5章の XP の手法は、宣言と原則を支えるために考えられたものとして出てきます。
宣言の左側(計画やツールなど)は、不要という意味ですか?
いいえ。左側の要素も不必要ではなく、アジャイル開発でもツールを使い、計画を立てます。そのうえで、右側の個人との対話や変化への対応などをより尊重する、という意味です。
「計画に従うことよりも変化への対応を」は、計画を作らないということですか?
計画を一切作らないという意味ではありません。当初の取り決めに縛られず、状況に応じてスケジュールを直しながら進める姿勢を指します。
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アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験Lv.1の第1章「アジャイル開発の概要」で問われる用語を、6つのまとまりと取り違えやすい組み合わせで整理しました。第1章の問題を2問、その場で解いて確かめられます。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験Lv.1の第3章「アジャイル開発におけるプロジェクト管理」で問われる用語を、6つのまとまりと取り違えやすい組み合わせで整理しました。第3章の問題を2問、その場で解いて確かめられます。
出題範囲は、2026年10月26日に試験の公式サイトで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。