第3章 アジャイル開発におけるプロジェクト管理の要点
スクラムの役割、ストーリーポイント、ベロシティを整理
- 第3章は、アジャイル開発の計画・見積り・進捗の見える化を扱う章です。スクラムの役割と会議、インセプション、ストーリーポイントとベロシティ、バーンダウンチャートが出ます。
- 役割(誰が)、会議(いつ)、指標(何で測るか)を分けて覚えると、混ざりにくくなります。
- 用語は「プロジェクトのどの場面か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第3章「アジャイル開発におけるプロジェクト管理」は、スクラムを例にした役割と会議、立ち上げ、計画と見積り、進捗の見える化を扱います。第2章の考え方を、実際の進め方に移す章です。
本番の60問のうち、第3章からは12問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全5章から均等に出題するようにしていて、第3章からは12問を出しています。試験全体の約20%にあたります。
もちこ道場の第3章の問題は50問です。形式は次の4つです。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 10問 |
出てくる用語は、プロジェクトのどの場面かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 役割
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| スクラムマスター | スクラムでのチームリーダー。進行を助ける支援型リーダー |
| プロダクトオーナー | 製品の最終責任者。原則1人で、ストーリーの優先順位を決める |
| 利害関係者 | 経営者、エンドユーザ、管理部門など、製品に関わる人たち |
| アジャイルコーチ | 導入初期の失敗を防ぎ、自分たちで解決できるチームへ導く。必須の役職ではない |
2. チームの姿
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 5〜9人 | プロダクトオーナーなどを除いた、望ましい開発チームの人数 |
| 機能横断的なチーム | 設計・開発・テストなど、外の助けなしにチーム内で実行できる |
| チームの規約 | チーム自身が作り、振り返りの結果に応じて改定する |
3. 立ち上げ
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| インセプション | 立ち上げ時に関係者が集まり、ビジョンとゴールを共有する |
| インセプションデッキ | プロジェクトの全体像を伝える、10枚のスライドのテンプレート。「やらないことリスト」も作る |
| マイルストーン | 関係者で決めた、大枠のスケジュールの見通し |
| イテレーション0 | 本格的な開発の前に置く準備の期間。アーキテクチャなどを共有する |
4. 要求と見積り
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ストーリー | 顧客の言葉で書いた機能と、その価値 |
| タスク | 開発者の視点で分けた作業。1日以下の大きさにする |
| プロダクトバックログ | 要求を優先順位の順に並べた一覧。チームは上から進める |
| ストーリーポイント | ストーリーの相対的な大きさを表す値 |
| ベロシティ | 1回の反復で終えた成果の総量。次の計画の根拠にする |
5. 反復の運営
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| スプリント | スクラムでの反復の単位(アジャイル全般でいうイテレーション) |
| スプリントレビュー | 終わりに、できた成果物を実演して価値を判断する会議 |
| スタンドアップミーティング | 全員が立って行う日次の会議。目安は15分 |
| インクリメンタル | 終わりに完成する、動作してデモできる成果物の別名 |
6. 見える化と改善
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| バーンダウンチャート | 作業の消化状況を図にして、ゴールへ届くかを共有する |
| 振り返り(レトロスペクティブ) | 基本はチームリーダーと開発チーム全員で行う |
| KPT | Keep(続ける)・Problem(問題)・Try(試す)で整理する |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、似た場面の用語が並びます。次の組み合わせは、「誰が・何を」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| スクラムマスターとプロダクトオーナー | 進行を助ける人か、製品の価値と優先順位に責任を持つ人か |
| ストーリーとタスク | 顧客の言葉の機能(ストーリー)か、開発者の視点の作業(タスク)か |
| ストーリーポイントとベロシティ | 1つのストーリーの大きさか、1回の反復で終えた総量か |
| スプリントレビューと振り返り | できた成果物を見せて評価するか、進め方を見直すか |
| インセプションとイテレーション0 | 方向性を共有する場か、本格的な開発前の準備期間か |
| 利害関係者とプロダクトオーナー | 製品に影響を受ける広い範囲の人か、最終責任を持つ1人か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
ほかの章の要点は「記事の一覧」にまとめています。
第3章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
アジャイル開発ではあらかじめ定めた周期で作業を繰り返すが、スクラムではイテレーションのことを1と呼ぶ。この一定期間内で設計や実装および検証を完了させて成果物を作成する。
答えと解説を見る
正解は 4(スプリント)です。
【概要】
スクラムにおける開発の反復周期の呼称に関する問題である。アジャイル開発で定められた一定の周期で開発を反復する開発単位は、スクラムにおいてスプリントと表現される。したがって、空欄(1)には「スプリント」が入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 インクリメンタルは各周期の最後に生成される実行可能な成果物を意味する語であり、反復期間の単位ではないため本問の正解ではない。
- 2.あなたの解答 タイムボックスは時間を事前に区切って枠内で作業を終わらせる管理概念であり、スクラムにおける反復の呼称ではないため本問の正解ではない。
- 3.あなたの解答 インセプションはプロジェクトの初期に行われる方向性の合意や決定プロセスを指し、定期的な開発周期ではないため本問の正解ではない。
- 4.正解あなたの解答 スプリントはスクラムにおいて固定された一定の開発周期を表す用語であり、正解として適切である。
問2
開発チームがひとつの反復期間内で、完了させた仕事の総量や生産性を表す尺度を1と呼ぶ。これを継続的に測定することが計画の精度向上につながる。
答えと解説を見る
正解は 3(ベロシティ)です。
【概要】
イテレーションにおける開発チームの生産性と、完了成果量を示す指標についての問題である。1回の反復内で実現できた成果の総量を表す指標をベロシティと呼び、次の計画を立てる際の根拠とする。したがって、空欄(1)にはベロシティが入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1.あなたの解答 ストーリーポイントは個々の要求事項が持つ相対的な規模を示す値であり、チームが反復内で達成した総量を指す言葉ではないため、本問の正解ではない。
- 2.あなたの解答 バーンダウンチャートは残されたタスクの減少傾向を可視化するグラフであり、生産性の実績数値そのものではないため、本問の正解ではない。
- 3.正解あなたの解答 ベロシティは各イテレーションで達成された成果の総量や速度を示す指標であり、空欄(1)に入る語句として正しい。
- 4.あなたの解答 マイルストーンは全体の大まかなスケジュール目標を示す節目のことであり、反復ごとの生産量を表す尺度ではないため、本問の正解ではない。
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よくある質問
第3章はどの章とつながっていますか?
第2章で見たイテレーションの考え方を、スクラムの言葉で運用する章です。チームの運営の細かい話(規約や振り返りの進め方)は第4章で扱います。
ストーリーとタスクは何が違いますか?
ストーリーは顧客の言葉で書いたシステム機能で、顧客が達成したい価値が含まれます。タスクは、開発者の視点で作業に分けたものです。ストーリーから分けるタスクは、1日以下の大きさにします。
ストーリーポイントは作業時間を表しますか?
いいえ。ストーリーの相対的な大きさを数値にしたもので、ストーリーどうしの重みを比べ、優先順位を決めやすくするために使います。絶対的な作業時間ではありません。
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出題範囲は、2026年10月26日に試験の公式サイトで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。