第4章 開発チームの運営の要点
自律したチーム、KPT、チームの規約、実測駆動を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第4章は、自律したチームをどう作り、どう運営するかを扱う章です。自律・協調・透明性、人間性の尊重、チームの規約、KPT による振り返り、計画の立て方が出ます。
  • 「自分たちで決める」「隠さず見せる」「現実を見て直す」が、章を通した考え方です。
  • 用語は「運営のどの場面か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第4章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第4章「開発チームの運営」は、自律したチームのあり方、価値観と規約、振り返り、計画の立て方を扱います。第3章の役割や会議を、運営の考え方から説明する章です。

本番の60問のうち、第4章からは12問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全5章から均等に出題するようにしていて、第4章からは12問を出しています。試験全体の約20%にあたります。

もちこ道場の第4章の問題は50問です。形式は次の4つです。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 20問
穴埋め(組み合わせ) 10問
正しい記述を選ぶ 10問
誤った記述を選ぶ 10問

出てくる用語は、運営のどの場面かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第4章の用語の6つのまとまり 1. 自律したチーム 説明責任・透明性 2. 人と対話 尊重・協調・傾聴 3. 規約と運営 チームの規約 4. 振り返り KPT・行動計画 5. 計画と分解 実測駆動・チケット 6. 見える化と時間 タイムボックス
第4章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. 自律したチーム

用語 ひとことで
自律したチーム 関係者の信頼を得て、目標の達成と説明責任を自分たちで果たすチーム
自律 自ら行動を律し、チームの目的に合う選択をする
説明責任 行った作業や行動について、関係者に説明する
透明性 現状や進捗を隠さず開示する。信頼を得る最大の手段
現地現物 現場や現物を直接確かめ、現実を正しく見て、自らを変えていく
自工程完結 不良を後工程に流さず、作業を良品で終わらせる(XP の手法に組み込まれた考え方)

2. 人と対話

用語 ひとことで
人間性の尊重 英語でリスペクト。意見を伝え、相手の主張にも誠実に耳を傾ける
協調 作業のつなぎ目で互いに調整し、チームの目標を最優先にする
情報伝達 メールやチャットなどの文字のやり取り。それだけでは意思疎通とは言えない
ニコニコカレンダー 壁のカレンダーに気持ちを表すシールを貼り、各自の状態を可視化する
モチベーション チームの成果は、個性と能力・知識に、これを掛け合わせて表される

3. 規約と運営

用語 ひとことで
チームの規約 指示されるのではなく、チーム自身が話し合って決める。必要に応じて追加・改定する
サンガ 規約づくりの参考にされる、古代インドの仏教僧団の規則。禁止事項と推奨する行動を分ける
序列を作らない 先輩・後輩を作らず、まとめ役は日替わりで交替してよい

4. 振り返り

用語 ひとことで
KPT Keep・Problem・Try の3つの切り口。Try は次回以降に試す改善案
コト 振り返りで議論する対象。人ではなく出来事に着目する
なぜなぜ5回 リーダーが「なぜ」と問いかけ、メンバー自身が真の原因にたどり着くよう促す
行動計画 改善案に優先順位を付けた後に立てる、毎日の全員の振る舞いとして示す計画

5. 計画と分解

用語 ひとことで
実測駆動 直前の反復で実際にこなせた量から、次に取り組める量を見積もる
INVEST ユーザ要求を簡潔に整理して記述するための基準
ストーリーのリファクタリング 記述があいまいでなく、誰にも同じ意味で伝わるかを確かめる作業
チケット ツール上で、細かく分けた作業ごとに作る。担当者・期日・進み具合を記録する

6. 見える化と時間

用語 ひとことで
見える化 異常が出たとき誰でもすぐ気づけるようにする。掲示板は一目で状況がわかるように整理する
タイムボックス 時間を区切り、集中と休息を繰り返してミスや手戻りを減らす

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、近い意味の言葉が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
自律と協調 自分の行動を律する(自律)か、つなぎ目で調整し目標を優先する(協調)か
情報伝達とコミュニケーション 文字や図形を渡すだけ(情報伝達)か、意思疎通まで果たすか
コトとヒト 振り返りで着目するのは出来事(コト)で、個人ではない
KPT の Problem と Try 起きている問題か、次に試す改善案か
振り返りの改善案と行動計画 出した案か、優先順位を付けて毎日の行動に落とした計画か
現地現物と自工程完結 現場で現実を確かめる姿勢か、不良を後工程に流さない考え方か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

ほかの章の要点は「記事の一覧」にまとめています。

第4章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第4章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

アジャイルチームで実施する振り返りは、特定の誰かを糾弾したり自分を反省したりするための場ではない。個人を攻撃することなく、発生した1を対象として客観的に議論を深める必要がある。

答えと解説を見る

正解は 4(コト)です。

【概要】

振り返りのミーティングにおいて議論・討議の対象とすべき概念について問う問題である。振り返りは特定の個人を批判して反省させる機会ではなく、生じた現象や出来事であるコトに着目して原因の分析や改善を図ることが重要である。したがって、空欄(1)に入る語句として「コト」が正解である。

【図解】実験的機能

振り返りの進め方 振り返りの進め方

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1.あなたの解答 ヒトは個人や担当者のことを指すが、振り返りは人間そのものを責める場ではないため、空欄(1)に入る正解の語句ではない。
  • 2.あなたの解答 Tryは振り返りの成果として次に試す改善策を指す語であり、問題点として検証対象にする発生事象を表す言葉ではないため、本問の正解ではない。
  • 3.あなたの解答 ルールはチーム内で決めた行動規範や取り決めのことであり、発生した問題現象そのものを指す言葉ではないため、本問の正解ではない。
  • 4.正解あなたの解答 コトは発生した事象や客観的出来事を表し、個人攻撃を避けて問題の本質を議論するための対象として正しい。

問2

アジャイル開発の計画作りでは、直前の反復で実際にこなせた作業量をもとに、次の反復で取り組める量を見積もる1の考え方を用いる。これにより、プロジェクトの完了までに何をどこまで終えられるかを、早い段階で見通せる。

答えと解説を見る

正解は 2(実測駆動)です。

【概要】

アジャイル開発の計画作りの考え方を問う問題である。実測駆動は、直前の反復で実際にこなせた作業量を手がかりに、次の反復で取り組める量を見積もる考え方である。この見積りにより、完了までに何をどこまで終えられるかを早い段階で見通せる。したがって、空欄(1)に入る適切な語句は「実測駆動」である。

【図解】実験的機能

2レベルプランニング、実測駆動、計画作り 2レベルプランニング、実測駆動、計画作り

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1.あなたの解答 2レベルプランニングは、リリース計画とイテレーション計画の2つの視点から計画を作る考え方であり、実績から次の量を求める考え方そのものではないため本問の正解ではない。
  • 2.正解あなたの解答 実測駆動は、実績の量から次の反復で取り組める量を見積もる考え方であり、空欄(1)に当てはまる。
  • 3.あなたの解答 リリース計画は、ユーザへ製品を提供する計画であり、実績から次の反復の量を見積もる考え方ではないため本問の正解ではない。
  • 4.あなたの解答 タイムボックスは、期間を固定して作業を区切る考え方であり、反復で取り組める量を実績から見積もる考え方ではないため本問の正解ではない。
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よくある質問

第4章はどの章とつながっていますか?

第3章で見た役割や会議を、チームの人間関係や価値観の面から掘り下げる章です。第5章の XP の手法(ペアプログラミングなど)は、ここで見た協調や尊重を実際の作業で支えるものです。

自律と協調は、何が違いますか?

自律は、自分の行動を自分で律し、チームの目的に合った選択をすることです。指示に受け身で従うことも、好き勝手に動くことも自律ではありません。協調は、心理的な配慮にとどまらず、作業のつなぎ目で互いに調整し、チームの目標を最優先にすることです。

振り返りで問題にするのは「人」ですか?

いいえ。特定の個人を責める場ではなく、起きた現象や出来事(コト)に着目して、原因を分析し改善する場です。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日に試験の公式サイトで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験(公式サイト)